独立した当初、僕は「自分が頑張れば売上が上がる」ことに喜びを感じていました。動いた分だけ結果が出るので、単純に楽しいんです。
でも、あるとき気づきました。それは事業ではなく、単に条件のいい仕事だと。
見分け方はシンプルで、自分が1ヶ月完全に手を止めたときに何が起きるかを想像してみればいい。売上がゼロに近づくなら、それは自分の労働力を売っているのと同じです。会社という形をとっていても、実態は個人事業と変わりません。
この問いが厄介なのは、答えが分かっていても向き合いたくないことです。自分が動けば結果が出るうちは、仕組みを作る時間が「無駄な時間」に見えてしまう。目の前の作業を止めて仕組み化に取り組むと、その月の売上は確実に落ちますから。
僕が意識しているのは、判断と作業を切り分けることです。
作業は、手順に落とせるもの。マニュアル化して人に任せるか、ツールで自動化できます。判断は、方針を決めたり、良し悪しを見極めたりする部分。ここは残ります。
理想は、自分の役割がチェックする人になることだと考えています。作るのではなく、上がってきたものを見て、進めるか戻すかを決める。この形になって初めて、事業は自分から独立した存在になります。
そしてもうひとつ、この状態にしておくと売れるんです。
自分が抜けたら回らない事業は、買い手からすると価値がありません。買った瞬間に中身が消えるからです。逆に、仕組みで回っている事業は、そのまま引き継げるので値段が付きます。
事業を売るつもりがなくても、この視点は持っておいて損はないと思っています。売れる状態にしておくというのは、要するに自分がいなくても価値が続く状態にしておくということなので。
自分が動かないと止まるなら、それは資産ではなく仕事。この問いを、僕は定期的に自分に向けるようにしています。